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【英語】冠詞の有無で意味が大きく変わる例

目次

aがつくかつかないかで、意味が大きく変わってしまう

人気youtuberのtweetからaのニュアンスを学ぶ

MaterWelonzは、カナダ在住の人気youtuberで、ゲーム実況動画を中心に投稿しています。簡潔で鋭い突っ込みを交えつつもゲームの世界観に沿った自然な感情移入を込めた実況で、特に英語圏で人気があります。高校生がリスニングの勉強に用いるには難易度が高いですが、大学入学以後に実践的な英語力を伸ばそうとする際には、楽しみながら学べる良い教材になると思います。女性ながら微かに少年らしさを感じさせる稀有な美声の持ち主で、しばしばコメント欄で「あなたは本当に女性ですか」「あなたは実は男性ではないのですか」といった質問がなされます。この質問は、あまりにしばしば尋ねられてきたため、彼女と常連のファンとの間では一つのネタのようになっていますが、新規の視聴者から本気で問いかけられることもよくあります。その彼女のtwitterにおいて、以下のつぶやきがありました。

一応説明しておくと、視聴者から「How are you girl?」と書き込まれたコメントに対して、間違って「How are you a girl?」と読んでしまった、と苦笑いしている状況です。この笑い話の意味がわかるでしょうか?

「How are you girl?」は、挨拶の一つである「How are you?」の文末にgirlがくっついており「お姉さん元気?」くらいの意味になります。目の前の女の子に対して、「調子はどう?」「ご機嫌いかが?」と気軽に挨拶している感じですね。

ところが、冠詞がついて a girl となると意味が大きく変わってきます。英語の授業で「aは不特定のものの中の一つを指し、theは特定のものを指す」と習ったことがあると思います。この場合だと、aという不特定の意味を表す冠詞がつくことで、直訳すれば a girl=「数ある女の子の中の一つ」「女の子一般」「いわゆる女の子」といった意味になります。その結果、How are you a girl? も「いったいどうしてあなたは女の子なのですか」といったニュアンスになります。

もちろん、この書き込みは実際には「How are you girl?」と挨拶が書かれていただけですが、MeterWelonzさんとしてはその声の少年っぽさから、「本当に女の子?」と聞かれた経験が何度もあるため思わず見間違えてしまい、なんか少年って言われることに身構えてしまってるのかなあ、と苦笑いしているtweetです。

通常はaをつけないが、つけることで特別の意味を表す場合もある

関連して、aをつけることで特別の意味が加わる例をもう少しみてみましょう。

「不特定多数のものの一つであること」を表すaの性質上、aが修飾するのは原則として一般名詞です。逆に言えば、一つしかないことが自明である固有名詞にaを付けることは通常ありません。

例えば物理学者のEinstein(アインシュタイン)は世界に一人だけの固有名詞です。固有名詞ですから、通常はaをつけることはありません。

しかし、例えば非常に賢い人を評して、「an Einstein」のように固有名詞につけ「数あるアインシュタインの中の一人」、つまり「アインシュタインのような人」「まるでアインシュタイン」といった意味になることもあります。

抽象的理解も具体的理解もどちらも大事

抽象的に「aは不特定のもののうちの一つを意味する」「aは一般名詞につく」「aは可算名詞につく」などと記憶することは、それはそれで重要なのですが、それのみでは英会話や長文読解においてなかなか使いこなすことはできません。ときにこうしてaをつけたりつけなかったりすることで、笑い話が生まれることもあります。その際、冠詞が果たす役割と意味を理解できないと、せっかく相手が冗談を言ってくれたのに、それに気づくことができない結果、「なんか話が通じない人だな」「ノリが合わない人だな」と思われてしまいます。また、aをつけるべきでないところに不用意にaを付けることで、場面によっては大きな誤解を生んでしまいます。

冠詞の間違いを軽く考えている人は多いですが、この例からも分かるように意味が全く異なってしまう場合があるので、日頃からここはつけるべきところ、ここはつけないところと意識しながら学習することが大切です。

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