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日本最難関の入試英語はどこの大学か?
先日、生徒から「英語が最も難しい大学ってどこだと思いますか」と質問されました。その流れで、元東進の英語講師である森田先生が早稲田大学理工学部が最も難しいとするyoutube動画を紹介され、大変面白く拝見しました。
さすが実力派講師だけあり、様々な角度から検討された結果として早稲田理工を挙げており、説得力のあるものでした。自然科学の背景的知識を要求する早稲田理工の英文は確かに難易度が高く、日本最難関候補の一角と位置付けられると思います。
実は私個人の結論はこれとは少し異なるのですが、それは別の機会で述べることにします。ここでは森田先生に敬意を払い、このような早稲田理工の英語をどのように攻略すべきかについて述べたいと思います。早稲田理工志望者のみならず、この手の高度な英文をどのように攻略するかのヒントになるものですので他大志望者も是非ご覧ください。
早稲田理工の英語への対処法
英語力だけでなく、知的文化資本が問われている
早稲田大理工学部に限らず、大学によっては、英文解釈において前提知識を要求してくる場合があります。これらの入試問題における難しさの要素は、英語そのものの難しさというより、文章を読む本人の知的文化資本の水準の高さを要求してくる点です。おそらく大学側としては、そういった自然科学に関する高度な議論の英文を出すことで、専門的な英文を読む素養と共に、受験という枠を超えて小さい頃からテクノロジーやサイエンスに関心があったのかどうかを見たいのだと思います。
つまり小さい頃からの積み重ねの問題であり、本来ならば一朝一夕に身につくものではありません。とはいえそれでは、入試当日に知っている内容がでたらラッキーそうでなかったらアンラッキーとなり、合否は運まかせになってしまいます。よって何らかの対策をとるべきです。しかし、時間が限られている受験生にとって割ける時間はそう多くありません。できる限り効率的に対策する必要があります。
英文の日本語訳だけを沢山読む
この目的のために最も適した参考書は研究社より出版された古藤晃氏の『英文読解以前』シリーズです。社会科学、人文科学、自然科学の各分野における少し専門的な話を扱った英文をまとめたアンソロジーです。
ポイントは、これの日本語訳だけを読むことです。非常にやる気のある生徒や真面目な生徒は、英文もきちんと読もうとしますが、この本を使う目的は英文解釈の実践的な練習ではなく、あくまでも大学入試英文を読む際に前提となる知識を獲得することです。日本語で理解できない文章をまして英文で理解できるわけはありませんから、まず最初に日本語により専門的な基礎知識を獲得することで、入試における英文解釈の一助とするわけです。
これなら大幅に時間をとられることはありませんし、気が向いたときに知的なエッセーを読む感覚で取り組むことが出来ます。
『英文読解以前』は出版年が少し古いですが、古いゆえに最新の議論の少し前の状況がつかみやすく大学受験用としては問題がありません。特に「過去はこうであった→現在はこうである」という構造の英文が出題された場合には、現在の状況だけを知っているだけよりも文意がつかみやすくなる場合も多くあります。
あるいは、理系大学の入試問題赤本の日本語訳だけを読む手もあります。学校の進路指導室に過去の赤本は大量においてあるでしょうから、環境によってはこちらの方がお金もかからず手軽かもしれません。まずは手に取って読んでみましょう。
人文科学系学部・社会科学系学部の受験生にとっても有用
なお、『英文読解以前』は、早稲田理工や自然科学系学部の受験生に限らず、広く社会科学・人文科学の学部を受ける受験生にもおすすめできる本です。政治系学部ではやはり政治関連の英文が出やすく、経済学部ではやはり経済関連の英文がでやすく、教育系学部ではやはり教育問題が出やすい傾向があります。これらについてどういった議論が現在なされているのかを事前に理解しておけば、本番で大きく有利になることはままあります。特にピンポイントといえるレベルで当たった場合の破壊力は大きく、本来の実力よりも大幅に高い得点をとり逆転合格したケースもあります。
また、英検やTOEFL受験生にとっても同じく有用だと思います。一方、ビジネス関連の実用的な英語が出題されるTOEICに関しては、試験のことだけ考えるのであれば不要です。